「イ〜ヤッホォ〜〜ィ!!!」
「もぉ!まったくガキなんだからっ!」
「ま・・・初めてなんだからしょうがないでしょ」
「ウスラトンカチが・・・」

紺碧の海、輝く太陽、何処までも透き通った蒼い空、分厚い入道雲が夏一色を演出している。
此処は言うもがな、海。
山に囲まれた木の葉の里から出たことのないナルトがテレビで見た海に泳ぎに来たいと無理やりせがんでカカシにつれてきてもらったのだった。
元々にぎやかな性格のナルトは、カカシと二人きりでは面白くないと7班全員を誘い今に至るというわけだ。




海水浴




黄色に青のラインが入ったトランクス型の海パンに早速着替えたナルトは、(もとい・・・元々服の下に水着を着込んできた)準備運動などそっちのけで透き通った水面向かって一直線に向かって走っていってしまった。
その無邪気な後姿を見送る三人が呆れた様子で、苦笑し小さな溜息を吐く。
まぁ、ナルトらしいといえばそうなのだが。

ナルトはこういった「いざというときの為」に貯金しておいたお金で浮き袋や、ビーチパラソルや、ビーチボールを買い込み持参してきていた。
その大荷物といったら、何処から引っ張り出してきたのかバカでかいリュックサックの中からはみ出すくらいの荷物を集合場所まで背負ってきたのを見たときはサスケもサクラも空いた口が塞がらなかった。
無論、遅れて集合場所に来たカカシもそのナルトの荷物に驚いたのは言うまでもない。

「すっげぇ〜!!気持ちいいってばよぉ〜!!サクラちゃ〜ん、サスケぇ〜、カカシせんせぇぇ!!!早く来るってばよ〜〜っ!!!」
「おー」

返事をしたのはナルトラブなカカシだけ。
サスケとサクラは腰に手を当てたまま呆れた様子ではしゃぐナルトを見ていた。

「じゃぁ、あたしも水着に着替えてこよーっと」

折角海に来たのだからとサクラも早速自分の持ってきた荷物を持って、近くの更衣所まで着替えに行くことにした。
結局自分もなんだかんだ楽しみにしていたサクラは水着の入った鞄を抱きしめながら小走りで更衣所へと急いで行った。
その後姿からは鼻歌も聞こえてきていた。
ナルトをバカにしていたサクラも結局は同じ年の子供なのだとカカシは思うのだった。
子供らしくないのは、約一名サスケだけ。
相変わらず楽しそうな場所に遊びに来ているというのにその表情は全く変わらない。
いつもと同じ無表情のまま。
つくづく子供らしくない子供だと、ナルトとは違いすぎて思わず溜息を吐いてしまうカカシであった。

「ほら、サスケもナルトと一緒に遊んできたらどうだ?海なんて滅多に来るところじゃないしさ、泳げば体力使って修行にもなるぞ〜」
「フン・・・ッ」

カカシがサスケにそうけしかけると、言われなくてもと言わんばかりに打ち寄せる波に向かってスタスタと歩き始めた。
その様子を笑顔で見送るカカシ。しかし、その背中に吐き捨てる台詞は・・・

「可愛くないなー・・・」

だった。
そんなサスケやナルトのことは放っておいてと、カカシはナルトが持ってきたビーチパラソルとピクニックシートを開き過ごしやすい影を作って持ってきた愛読本を開けて読み始めた。
すると其処へ、着替えが終わったサクラがやってきた。

「ジャァ〜ンvvどぉ?カカシ先生この水着?可愛いでしょーvvv」
「ん?」

サクラは得意そうに自慢のプロポーションを露にした自分の髪と同じ色をしたピンクのビキニを身に着けていた。

「ん〜サクラにはまだ大人っぽすぎるんじゃない?似合わないことないけどネ」
「ふーんだ!カカシ先生にはあたしの魅力がわかんないのよーだ!!」
「ハイハイ・・・」
「今日こそこの水着姿で、サスケ君のハートをゲットするんだからっ!!」
「ガンバッテネー」
「っしゃぁーんなろーっ!」

そう息巻いたサクラは一直線にナルトとサスケがいる水辺へと走っていったのだった。
見送る視線の先には、子供らしく遊ぶ3人の微笑ましい姿が見えた。
それを見ながらカカシは

「元気でいいねー・・・」

と、年寄りくさい台詞を言いながら、再び愛読本へと目を落とすのだった。


     ********************  ******************* 


一入遊んだ3人が持ってきたクーラーボックスの中の冷えたジュースを飲みながらのんびりと冷えた身体を甲羅干ししていた。
相変わらずカカシはビーチパラソルの下で愛読書を読みふけっている。
のんびり過ごす3人の周りでは、近くから泳ぎに着たのか若い者達がそれぞれ思いのままに遊んでいる。
日焼け目当てで甲羅干しをする者、ボールで遊ぶ者、海の家で食いまくる者、ナンパをする者、海ではしゃぐ者など様々に夏を満喫しているようだった。

「それにしてもすっげー人だってばねー」
「そうねー、さっき来た時より増えてるんじゃない?」
「海開きしてまだ間がないからな。昼を過ぎたらもっとふえるんじゃねぇか?」
「あv見てみてサスケ君あそこ!ナンパしてるわよv」
「どこどこ?あ!ホントだってば!」

サクラの指差す先には2人の男が同じく2人の水着姿の女性に声を掛けている姿が見えた。

「なんか脈絡ないけど、あーゆーの見たらなんだか夏って感じするわねー」
「だってば」
「あ・・・!サスケ君!もし、あたしがナンパされたら守ってくれる?」
「サクラちゃ〜ん・・・なんでその台詞オレには言ってくれないんだってば?」
「あんたはいいのっ!」
「オレだったらサスケよりもっと頼りに成るってばよー!」
「はいはい・・・期待してないけどね、その時は頼むわよ!」
「任せとけってば!」

と、当てにされていないのを全く理解していないナルトは得意そうに胸を叩いたのだった。
当のサスケは別のあらぬ場所を見ながらジュースを飲んでいるのだった。
その、視線の先が妙に気になったナルトはサスケの視線の先を同じ目線で追ってみた。
すると、其処には楽しそうにビーチバレーをする4・5人のグラマーな水着姿の女性達が楽しそうに遊んでいるのであった。
ボールを追いかける女性達の姿は水辺で遊ぶ女神のように見える。
しかも、たわわになった胸はボールを追いかけるたびにプルプルと揺れ動き、周りの他の男性の視線も釘付けになっていたのだった。
実はサスケはその隣のライフセイバーを見ていただけで、そんな女性など微塵も視界には入ってはいなかった。
大きな誤解をしたまま、ナルトは

「サスケってばあのオネーサン達ばっかり、さっきから見てるってばよー!!」

何でそうなるのか、ナルトは決め付けてサスケの視線の先をオネーサン達と決め付けていたのだった。
焦ってナルトを見るサスケ。

「え!?////」

いきなり突拍子もないことを言い出したナルトにサスケは真っ赤に頬を染めて、驚いた表情でナルトを見た
その様子がサクラには肯定の意味に思えて、ショックの表情を露にした。

『サ・サスケ君ってもしかしたら年上の女の人が好み!?まさか・・・そんな・・・そんな・・・そんなぁぁ・・・』

サクラの頭の中はそのことで一杯になっている様子で、持っていたジュースのスチール缶を思い切り握り締めた。
本来なら女の子の握力ではへこみすらしないスチール缶だが、サクラの持っているスチール缶ははっきりとその指の後がメコメコと音を立てて痕を着けているのだった。

「サスケってばスケベだってばよ〜!」
「ち!違っ!」
「まぁ、サスケも男だからなぁ〜。分からんでもないぞその気持ちは」
「カカシ・・・っ!てめぇ!!」
「サスケくぅぅ〜ん(涙)」
「だから違うっていってんだろーがっ!」
「隠すなってサスケ、あんだけキレーなオネーサン達だもんなぁ。見とれる気持ち分かる気ぃするってばよ」
「お〜ま〜え〜な〜っ!」
「ふえぇぇ〜ん!サスケく〜〜んっ!」
「泣くな!誤解だ!サクラ!」
「まぁまぁまぁ・・・」

泣くサクラ、からかい笑うナルト、宥めるカカシ、そして焦って怒るサスケ。
同じ場所で寛いでいるにも拘わらず、個人個人の表情はどれ一つと同じものがないのは滑稽に思えてしょうがない。
妙に目立つその場所を通り過ぎる人たちは呆れた苦笑の表情で見ながら通り過ぎるのであった。

「サスケ君のバカぁ〜!」
「だから誤解だっていってるだろーが!聞けよ人の話!」
「もういいも〜〜ん!!ナルト!!」
「な・なんだってば!?」

サクラは何を思ったのか片手に自分の鞄、もう片方の手はナルトの腕を引っ張り無理やりナルトを立たせようとした。
持っていたジュースが毀れそうになり焦ったナルトはジュースを安定した場所に置き、サクラの引っ張る方へと嫌々ながらもついて行った。
何処へ行くのやら、取りあえず一番うるさい二人がいなくなったことに胸を撫で下ろすサスケであった。
カカシも再び静かに本を読めると再び愛読本に目を落とすのであった。
しかし、数分後にもその静けさは微塵と消えることになるとは思いもよらない二人であった。






続く



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