「ナルト!来て!」
「な・なんだってば?サクラちゃん!?」
「いいから来て!!」

片手には自分の鞄、そしてもう片方の手ではナルトの腕を掴み強引にナルトをその場に立たせたサクラ。
そのまま二人は、ある目的の場所へズカズカと歩いていった。






海水浴 2



二人が居なくなって早20分程が経過している。
静寂が保たれていいと思ったが、流石にこの広い海岸で迷子になっているのではないかと、何かと世話焼きなサスケは気になりだす。
寝転んで青い空を見ながら甲羅干しをしていたサスケだが、流石に気持ちが焦り始め二人を探しにいこうと身を起こした。


その時


「おい見ろよ!あれ!」
「お!カワイイ〜vv俺、超好み!」

寛ぐサスケとカカシを通り過ぎていく男二人連れがナンパ目的でめぼしい女の子を見つけたようだ。
そんな男二人連れを呆れた視線で見ながら、傍に置いてあったジュースの缶を手に取り、喉に流し込もうとする。

「ナンパか〜。若いっていいねぇ〜、サスケお前は興味ないの?」
「ない」
「シンプルな回答をありがとう」

海=女=ナンパ・・・・それしか頭にないのかあの男共はと呆れた視線でその男二人を追ってみると遠くでなんだか黒山の人だかりができている。
どうも騒がしいなと人だかりの方に目をやってみてもなんだかムサイ男どもばかりで人だかりの原因の『中心核』が全く見えてこない。
まぁ、身を乗り出してまで見に行くほどの興味はないと、カカシもサスケもそれぞれの興味のあるものへと視線を落とそうとしたその瞬間、その黒山の男だけの人だかりを掻き分けて姿を現した人物を見て、サスケは持っていたジュースを間抜けな顔で落とす羽目になる。

  −バシャ・・・コロコロコロ・・・−

落としたジュースの缶は中身を吐き出しながら、虚しげにコロコロとサスケの足元を転がっていた。
ジュースを落とした本人はそんなことなど全く気がついていない様子で、まるで幽霊でも見てるかのように信じられないといった表情で視線の先の方向を指差し見た。

「・・・・な!ななななななな!」
「何そんな、お化けでも見たような顔してんの?サス・・・」

いつものポーカーフェイスのサスケらしからぬ慌てようにカカシが突っ込みを入れるが、サスケのあまりにも凝固した視線の先が気になって徐にそちらの方を見たカカシもあっけに取られる。

「ケ・・・☆」

サスケを硬直させ、そしてカカシまで驚かせるその人物達はその辺の男共を両脇、後ろにはべらしこちらに向かって歩いてくる。

「ねね!彼女達、何処から来たの?二人だけ?どっか遊び行かない・奢るからさぁー!」

懸命に媚を売り、自分をアピールする男。

「あの連れが待ってますから・・・」

と、あしらう桜色の髪の少女。

「そんなヤツ相手にすんなよ!俺達と遊ぼうぜ!」

前に居る鬱陶しい壁を掻き分けて懸命に話しかけアピールするサーファー風の男。

「オレ・・・や・・・あたしたち他に待ってる人がいるんだってば・・・」

と、逃げを決め込む金色の長い髪の少女。

「何言ってるんだ、俺達のがずっとか面白いぜ?行こうよ」

少女達の話を全く聞かずに、腕を掴んで引っ張っていこうとする強引な男。

「「もー!しつこいなー!!」」

と甲高い声を上げ逆切れし、掴んだ男の腕を振り払う二人の少女。
一人はとても恥ずかしそうに胸を隠しながら、もう一人は困ったような顔をしてそそくさと逃げるように小走りで歩いてくる。
そう、取り巻きのように男に囲まれた女の子二人はナルトとサクラだった。
しかも、ナルトはお色気の術で変化し、おまけに何処から持ってきたのか際どい真っ赤なハイレグビキニという出で立ちだった。
しかも、バストの部分も布の面積が以上に小さく、タダでさえたわわになっているナルトの胸のことだ、其処からはみ出しそうになってかなり周りから見ていてハラハラする。
しかし、ナルトの見事なプロポーション、そして容姿はその水着の派手さに負けることなくきっちり着こなし、素っ裸のお色気の術よりも色気をかもし出しているのだった。
それにサクラも元々はアカデミーの生徒中、そして中忍の若い忍にも密かに持てている存在だし、スタイルも決して悪くはない。
むしろ、年齢の割には大人っぽく綺麗で、出ているところは出て、締まっているところは締まっている。
そう考えると、この男共がゴキブリホイホイに誘い込まれるゴキブリのようにうじゃうじゃ寄って来るのも仕方のないことなのかもしれないと、二人のことを良く知る人物なら強制的にそう思い込まされる程に二人は派手に目立ち、可愛かったのだ。

「サスケくぅ〜ん!助けてぇぇ〜!!」
「カカシせんせー助けてってばよー!」

やっとの思いで、安心できる場所へと到達できた二人は半ベソを掻きながら、サクラはサスケに、ナルトはカカシに縋りついた。

「「うえ〜ん!こわかったーっ!(泣)」」
「サスケくぅ〜ん(涙)」
「サ・サクラ///」
サクラはサスケにこの時ばかりとサスケの首根っこに抱きつき思いっきり胸を押し付ける。
サスケは慣れない女性の身体の柔らかさに赤くなって硬直するのみ。
一方・・・

「怖かったってばよぉぉ〜!カカシせんせー!(涙)」
「はいはい、よしよし」

実際は男の子であるうずまきナルト13歳。男に迫られたのだから、怖い以外何者でもないだろう。
その容姿は可憐で可愛いことこの上無いが、実際の姿を知っている上に生徒と先生との間柄、慰め役に嵌り切れたカカシであった。

「もう大丈夫だ、ナルト。なんでそんな色っぽいカッコしてんの?」
「サクラちゃんが、サクラちゃんがサスケがオトナノジョセイばっか見てるから、ヨソに視線がいかないよーに『お色気の術』でサスケの視線をヨソに行かないようにしてくれって言われたってばよ〜。サクラちゃんのお願いだからオレ断れなかったんだってばよ〜!」

一息で理由を話し、再び恥ずかしさと、男に迫られた怖さで泣き出したナルトだった。
カカシはそんな可愛らしく泣くナルトの髪をよしよしと撫でながら慰める。
ナルトが話した理由を聞いたサスケは先程の誤解を真に受けたサクラに焦って弁解を始めるのだった。

「な!だからソレは誤解だっていってんだろーが!サクラ!」
「だってぇ〜!サスケ君あたしの水着姿見ても何も言わないし、だったら大人の、年上の女性が好みなのかもしれないっておもったんだもん〜〜っ!」
「あ〜の〜な〜!」
「いやだったんだも〜〜んっ!くやしかったんだも〜〜んっっ!ぅえ〜んっっ!」

とにかく今は怒るよりも先に慰めて泣き止んでもらわないことには、自分が泣かせたかの様に周りのギャラリーの突き刺さる視線からは逃れられないと、サスケはサクラを必死に慰めるのであった。
そんなこんなで誤解も解け、サクラも泣き止み、取り巻きのようにいた男共はすっかり居なくなり、ナルトも元の姿に戻った。
泳ぎに来て疲れたのではなく、結果サクラとナルトのお騒がせで疲れた海での一日なのであった。

「いやぁ、楽しかったなぁ。海」
「「「・・・・・」」」

帰り道、伸び伸びと背伸びをしながら満足げに余暇の感想を述べるカカシ。
面白い本、面白い出来事を満喫できたのはカカシだけ。
サクラはサスケにあの後怒られてションボリ。
ナルトは、男に迫られまくった恐怖が後を引いてションボリ。
サスケは泣き止まないサクラの慰め役に回って疲れてグッタリ。
よって、カカシの述べた感想に誰一人返答するものは無くカックリ項垂れ無言で帰路についたのだった。


「明日からの任務も頼んだよーv3人共vvv」

そういって元気良く帰り道を歩くカカシの後姿を恨めしそうに睨む3人の姿があったという。




完結







あとがき

夏です!海です!プールです!
山や森に篭って修行ばっかりやっている3人にも夏らしく海で遊んでもらいたかったのが本音なんですけどね。
結局、疲れさせちゃっただけになってしまいましたー!
ごめんなぁー7班諸君よ!
たまにはギャグもいいんでないかい?

2003.7.3 ほむら 雅
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