真夜中・・・真っ暗な廊下をそろりそろりと足音と気配を殺して歩く人物がいた。

ギ・・・・・ギ・・・・・ギギ・・・・・カチャ・・・・キィィ・・・・・・

微かなドアの蝶番に軋む音を立てながら何者かがカカシの寝室に侵入する。
薄い月明かりに照らされたベッドの上のカカシの身体の輪郭を浮かびあがらせて、熟睡している事を確認させてくれる。
侵入者は、ベッドの上のカカシの熟睡を確認しながらそっとそ〜っと近づいていく。







IN THE LIFE  第4話・巻物2



「にしし・・・せんせー熟睡だってばよー・・・今のうち今のうち」

木の葉の里一と謳われる上忍カカシに無謀にも挑戦状を叩きつけにきた侵入者は
こちらも木の葉の里一の意外性NO.1忍者同居人うずまきナルトだった。
このうずまきナルトあくまでも自分の修行の一環の為、巻物奪取を試み今の所行に出たのだった。決して夜這いなどではない。
神経全体は目の前のカカシに、しかしその気配を消す事も忘れず一歩また一歩と目的のベッド横の引き出しへと近づいていった。
ゆっくりゆっくりと手を伸ばし、息を殺して音を立てずに引き出しを1センチ、2センチと開けていった。
もう少しで巻物に手が届くと思ったその瞬間

カチ・・・

小さなスイッチを押す音と共に部屋全体が煌々と明るくなる。

「!!!!!」
「ふわぁ〜あふ・・・・こんな夜中になぁにやってんの?ナルト」

慌てて声のする方に振り返ってみると、ナルトが入ってきた入り口付近の壁に欠伸をし背もたれながら立っているカカシの姿があった。
ナルトは焦ってベッドの上にいるはずのカカシを見た。
其処にはもう一人のカカシが布団の中に潜り込んだ状態のまま呆れた顔で頬杖をつきながらこっちを見ていた。
ベッドの上のカカシは囮だと気付くのはあまりにも遅すぎたナルトだった。

「しまったってば!影分身!!」
「しまったじゃないでしょー。ナルトく〜ん。君なにやってんのよ?はっはーん・・・?もしかして・・・君の目的はこれかなぁ〜?」

ニヤニヤしながらカカシは懐からナルトのお目当ての巻物が出てきた。

「あれっ!?さっきこの引き出しに・・・あ!な・無いー!!!!」
「甘いねぇ〜君も・・・まだまだ修行が足りんよ。無駄な事やめて早く寝なさい」

カカシは人差し指を立て左右に振り『チッチッチ』と舌打ち、人を小バカにした態度でナルトを挑発した。
そのカカシの『その程度?』といわんばかりの態度にナルトはムカッと腹を立て子供らしいケンカ言葉を出す。

「なんだよっ!せんせーズルイぞっ!影分身なんてさぁ!!」
「ズルくないのー。後ろ取られるナルトが悪いんでしょ?これ実戦だったら秒殺されてるよ、ナルト」
「ぐぅぅ〜っっ・・・・・!!!!」

当然の返し文句に言葉も出ないナルトだった。

「ちくしょぉ〜!!巻物返せってばぁ〜」

ナルトは一心にカカシに飛び掛っていくが、カカシは羽のようにふわりふわりとナルトの攻撃を見事に避けていった。
全くつかまらないカカシにナルトは業を煮やし、さらにやけくそに立ち向かっていく。
ベッド近くに逃げていたカカシにナルトはダイビングしカカシの胴体目掛けて突っ込んでいった。
がっしり捕まえた大人の身体の感触。
捕らえたとナルトが顔を上げた瞬間それはなんと枕だった。
今度は変わり身の術で難なくかわされた。
捕まえたと思わせて見事に裏切ってくれるその所業にナルトの悔しさは倍増する。
枕を床に叩きつけ、辺りを見回しカカシの姿を探す。
部屋の四方を見渡すがカカシの姿が見えない。
キョロキョロと見回すナルトの頭上からカカシの声が降ってくる。
ナルトは慌てて声のする方向を見てみる。

「ん〜甘いねぇ。ナルト。ふわぁ〜」
「!・・・んなっ!!」

忍者でしかも上忍なのだから天井に張り付いて逃げるのは当然の行動。しかしナルトが驚愕したのはその張り付いた体勢の事だった。
カカシは、まるで天井を床の上のように、ゴロ寝の体制でナルトを見下げていたのだった。

「うぐぐぐぐぐ・・・・・・っっっ!!!!せんせーのバカっ!!!もういいってばよっっ!!!!」

あまりにも人を馬鹿にしたカカシの態度にに、ナルトはドスドスと地団駄を踏み部屋を出て行った。
カカシはふわりと天井から降りて、安堵のため息を吐いた。
ナルトをあしらうのは簡単な事だが、この先の生活ずっとこの調子が先が思いやられるとカカシは頭を抱えるのだった。
もう一度部屋の電気を消し、ベッドに潜り込み再び眠りについた。
その頃自室のベッドの上でナルトは・・・・

「こうなったら巻物取り返すまでやるだけだってばよっ!」

一人自分の拳に向かって誓いを立てていた。
この日からカカシの寝室には毎日毎晩昼夜問わず奇襲をかけるナルトの姿があった。

「ねぇねぇサスケ君、最近どうしたのかしら?ナルト」
「・・・・さあな」

任務の最中のサスケとサクラの会話。
今日の任務はとあるお屋敷の庭の草むしりだった。
広い庭には大きな植木も沢山あり、カカシは其処に愛読書を持ち込み一人読書に熱中していた。
ナルトはといえば、愛読書に熱中するカカシの隙を狙い、あの手この手と試行錯誤しながら相変わらず奇襲をかけていっていた。
その不可思議なナルトの行動に首をひねるサクラ。無関心に雑草をむしり続けるサスケ。
二人は、そんなナルトとカカシのやり取りを毎日毎日見ていた。

「ハァハァハァ・・・ちくしょぉ〜っ!なんで取れないってば〜っっ!!ハァハァハァ・・・」
「もう終わりか?ナルト?」

何事も無かったようなカカシの余裕の態度も頭にくるナルトだった。
何度、地団駄を踏みまくったことか。
悔しさに両手を握り締め、わなわなと震え下唇を噛み締めるナルトだった。
その時、ナルトの頭の中に一つ名案が浮かんだ。
ニヤ〜っと笑いながら『そうだってば!この手があったってば!!』と独り言をいい両手で口を押さえあたかも完全勝利したかのような
笑みを浮かべ『よしっ!』と草むしりを始めた。

『また何か良からぬ事を考えてるな?ナルトの奴』

どんな手で来ようとまたかわしてやるさと余裕の笑みを浮かべ再び愛読書に目を落とすカカシだった。
この余裕がカカシにとって命取りになることを、今のカカシには想像もつかなかった。











続く

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