『カカシせんせー・・・オレ・・・』
『なに?ナルト』

〜カカシ心の声〜
赤く頬を染めて潤んだ碧眼で俺の望む言葉を口にする生徒。
な・・・なんて可愛い顔するんだ・・・お前は・・・。
そんな顔・・・誘ってるようにしか思えないぞ。
冗談だったらココでやめておいたほうが身の為だぞ?

『せんせー・・・・オレ何でもするってば・・・』

〜カカシ心の声〜
おおおぉぉぉぉぉ!!!それってOKってことだよなぁぁぁぁ!
って事は・・・あんな事とかこんな事とかもしてくれるって事!?だよな??

『な・・・ナルト先生本気にしちゃうぞ?』

〜カカシ以下同文〜
本気にしちゃうぞ!本気にしちゃうぞ!!マジで!!って赤く染まった頬を更に赤くして、恥ずかしそうに頷いちゃって。
か・か・かかかかかか・可愛いぃぃぃぃぃぃっっっっ!!!!!
キスしたい、抱きしめたい、あーんな事とか、そーんな事とか、んでもって$¢£%#&*@§☆な事とか
やって啼かせてみたいっっ!!
ナルトナルトナルトぉぉぉ〜〜〜〜っっっ!!!!!!!!!

『大好き・・・vカカシせんせーv・・・・だから・・・何でも言ってってば・・・オレ・・・せんせーの為なら・・・』

オレも大好きだぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜っっ!!!







「ナルトぉぉ〜〜vv」
「なんだってば?カカシせんせー?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」

暫しの沈黙・・・・・・。







IN THE LIFE  第2話・引越し



チチチチ・・・・チュンチュン・・・
爽やかな小鳥の囀る朝。
薄めのカーテンからは布越しに朝日が燦々と差し込んでいた。
外は綺麗に晴れ渡り、一日の始まりを伝えている。
目の前にいた頬を染めた可愛いナルトを抱きしめて目を見開いた瞬間、ヌっと姿を現したのはいつものナルトだった。
抱きしめようと伸ばした腕は虚しく空を切って胸の前で交差していた。
暫し見詰め合い続いた沈黙。
それは、『なんで?』といわんばかりの寝ぼけ顔のカカシと『何やってんの?』と言わんばかりのナルトの
静かな視線での戦いだった。
静寂を破ったのはナルトの声・・・。

「なに大きな声でヒトの名前呼んでるんだってば?せんせー寝ぼけてたってばね」

このナルトの言葉で確実に夢だったことを確信させられる。

「はぁ・・・・・・夢かぁ・・・・・そうだよなー・・・・あんな可愛い・・・・・はぁ・・・・・あるわけないよなぁ・・・・・」

常に人の頭の中身は何を考えているか分からないものだ。
ナルトにはカカシのぼやく言葉の意味が分からなかった。
頭の周りにクエスチョンマークが飛び交う。

「・・???・・・何言ってるってば?もうじき朝ごはんできるから早く起きてきてってばよー!」
「はいよ〜・・・は〜ぁ」

理解不能なカカシの脳内は放って置いて、ナルトは今一番大事な朝ごはんの事を優先する。
火に掛けた味噌汁のことしか頭に無かったナルトはパタパタとスリッパを鳴らして台所へと急ぐ。
その背中を見送りながらベッドの上のカカシは返事をしながらため息を吐く。

「いい夢だったのになぁ・・・・ちくしょう〜・・・」

カカシは悔しいやら虚しいやらで、膝に掛かった掛け布団をボスボス正拳突きを繰り返した。
そんな事をやっていてもしょうがないと、のろのろとベッドから出てジャージ姿のまま浴室横の洗面所へ急ぐ。
顔を洗い、歯を磨く。歯ブラシをシャコシャコ動かしながら、視点をボーっとどこかに飛ばしていると
先程見た夢の内容がフラッシュバックしてくる。

「可愛かったなぁ〜夢の中のナルトってvv」

カカシはだらしなく口に歯ブラシを突っ込みながら顔の筋肉を緩めニヤニヤしてしまう。
頭の中は夢の中の可愛いナルトで一杯になっていて、歯ブラシを持つその手はお留守になっていた。
一方、熱い味噌汁を用意してカカシを待っていたナルトは痺れを切らしていた。
折角の味噌汁がこのままでは冷めてしまう。
遅刻癖のあるカカシのことを良く分かっていたナルトはカカシの様子を洗面所まで見に行く。
するとどうだろう、鏡に映るカカシの顔はだらしなく緩みニヤニヤとよからぬ笑みを浮かべているではないか。
しかも、歯ブラシを握った手は動いていない。
完全に妄想の世界に入りきっているのは一目で分かった。

「カカシせんせーっ!!何やってるんだってば!!!早く来てくんなきゃお味噌汁冷めちゃうてばよっ!!!」
・・・・・・・っ!ゴホッゲホッ!!ナ・・・ナルト!」

ナルトの鶴の一声に驚いたカカシは急激に現実世界へと引き戻される。
思わず口の中のものを飲み込みそうになって激しく咳込む。
カカシの慌てぶりにナルトはため息を吐いてあきれ返る。

「全く・・・何やってるってば・・・・せんせー・・・・」
「ご・・ごめんごめん。先生朝から寝ぼけちゃって。あはは」
「見ればわかるってば・・・」
「う・・・冷たいオコトバだこと・・・」
「早く来てね。お味噌汁冷めちゃうってばよ」
「ん〜」

カカシはガラガラとうがいをしながら後ろ手で返事をした。
口を拭き、寝癖を直し洗面所を出る。
ふわりと朝食の香が廊下にも漂ってきていた。

「なんか新婚生活みたいv」

とこまでもトボケた上忍である。
リビングからはパタパタと忙しないスリッパの音が聞こえる。ナルトが朝食の準備で動いている気配が察知できる。

『なんか・・・いいかも』

一人暮らしが長かったカカシはいつも食事といえば簡単な出来合いのものとか、仲間同士で『居酒屋 人生色々』に行く事で
味気なく済ましていた。
仲間がいる食事はともかく、自分一人だけで食べる食事は味気ないものだ。
しかし、今朝はそうではなかった。
ナルトが自分の為に朝食を作って、起こしにまで来てくれたのだ。

『目覚めにナルトだもんねぇ〜♪役得役得v』

朝からオトボケ変態上忍教師カカシはご機嫌だった。

「ごめんナルト。待たせちゃったね」
「カカシせんせー遅いってばよ。お味噌汁冷めちゃうかと思ったってば」

あくまでも味噌汁にこだわるナルト。
両手を腰に当ててぷっくり頬を膨らませて不満を漏らす姿もまた可愛らしい。
カカシは再び緩まりそうな頬の筋肉を引き締め、『ゴメンゴメン』とナルトに謝った。
ダイニングテーブルの椅子に腰掛けながらカカシはナルトに今日のメニューを尋ねた。

「それで?今日のメニューは?料理長さん」
「へっへー。納豆、焼き海苔、お豆腐のお味噌汁、鯵の開き、んで出汁巻き卵だってばよ」
「おお〜vvごーかvvv久しぶりだよ。マトモな朝食」

カカシが喜ぶ顔を見たナルトは嬉しくなってピースをして『にしし』と笑う。
そしてナルトも向かいの椅子に座る。

「「いただきまーす」」

二人で合掌。そして朝日が差し込むダイニングでの穏やかな楽しい食事の時間が始まった。
『美味しいね』といえば『うん』と返事が返ってくる。
それが何よりの御馳走だった。
二人は、ナルトが用意した朝食を全てたいらげ、リビングで食後のお茶を飲みながらくつろいだ。
本日第7班の任務は終日お休み。一日ゆっくりこの先の話ができる。
お茶を飲みながら、窓から差し込んでくるぽかぽかと暖かな日差しにナルトは目を細めている。
その様子につられてカカシも微笑む。
カカシは新聞に目をやろうとしたその時、昨日のことを思い出しナルトに尋ねてみる。

「ところでナルト。火事にあった建物はは全焼だったの?」
「ううん。大方焼けちゃったけどちょこっとだけ焼け残ってるところもあったってば」

ナルトはお茶を啜りながら答えた。
暫しカカシは考えた。そして言葉を切り出す。

「ねぇナルト。何か大事なもの燃え残ってるかもしれないよ。現場見に行かないか?」
「ズズ〜・・・・うーん・・・。あんだけ酷く燃えてたもんなぁ・・・残ってないかもしんないってば・・・」
「まぁいいじゃない。いってみよう。ね?」

ばさりと新聞を雑にたたみ、ナルトの手を引っ張って出かける準備をしだした。



ナルトはいつもとおんなじ、カカシはジーパンに白のシンプルなTシャツといういでたちだった。
いつもは首や顔半分が隠れて分からなかった端正なカカシの素顔や、服装、身につけているシンプルなアクセサリーなど
『忍』としての普段の顔とは全く違ったカカシにいい意味での違和感を覚えたナルトだった。

「なんかいつものカカシせんせーじゃないってばよ」
「ん〜そうだねぇ。いっつもアノ服しか着てないもんねぇ。なんか変?いつもの格好にしようか?」
「でもさ!でもさ!!なんかカカシせんせーカッコいいってばよ!!」
「そぉ?サンキュー」

カカシの格好は清潔感があってとてもシンプルだった。
ナルトはそんなカカシもカッコいいと思った。
任務の最中のカカシはピリっとした張り詰めた気を放ってカッコいい。
でも、普段の見せない一面も自然なカッコよさがあった。
ナルトはそんな自然体のカカシの姿に少し頬が熱くなった。
誰もが自分に対しては警戒心を解くことはしなかったし、ましてその人のプライベートまで覗くことができるほど
親しくなることも無かった。
ナルトにとって初めて人のプライベートを覗くことができて嬉しいと思った。
むしろ、こんな自分に相手が己ををさらけ出してくれることが何よりも嬉しかった。
ナルトはそんな照れた自分の表情を知られたくなくて、スッと表情を隠した。
カカシはそんなナルトの表情を逃すはずは無かった。
しかし、あえて突っ込むことはせずに知らぬフリをした。


準備が整った二人は部屋の鍵を閉め家を出た。


カカシの家からナルトの家があった場所まで少し歩く。
二人はナルトのこれから必要になってくる生活用品を買い揃える相談をしながら道程を歩いていった。

「タオルでしょ、歯ブラシ、下着に、パジャマ、コップ、茶碗、箸っとそれから・・・・あっ部屋着にジャージ買っておこうね。
着替えも何着か無いとねぇ。不便でしょ?」
「せんせー・・・別にそんなに買わなくっても今あるので十分だってばよ。歯ブラシとパジャマと下着で十分だってば・・・」
「駄目でしょーよ。そんなんじゃお泊りとかわんないよ?それにね準備しておいて損することはないのー。子供は大人に
頼りなさいって」
「でもオレ・・・」
「いーからいーから!任せとけって♪」

『いつか自分で部屋探すから・・・・』
ノリノリのカカシにその言葉を続けることができなかったナルトだった。

そうこう話しているうちに、元・ナルトの部屋だった場所の前に到着。
延焼を避けるために炎の強かったところは消防団によって破壊されていた所為かナルトの部屋は大方
元の姿とはかけ離れた形になっていた。

「かなり派手に燃えたねぇ・・・・」

額に手を当て覗き込むような格好で思わず呟くカカシ。眼下のナルトの表情は昨日あったことを鮮明に思い出したのか
俯いて涙目になっていた。
悲痛なナルトの様子を見たカカシはナルトの髪をクシャクシャと撫で慰める。

「泣かないの〜ナルト。先生苛めてるみたいでしょ?」
「だってよ〜・・・」
「はいはい。とりあえず涙拭いて。行こ・・・ね?」

カカシは泣いているナルトの背中をぽんと叩き、行動を促す。
二人はかつてナルトの部屋だった場所に入って行った。
出火場所はナルトの隣の部屋だった為、ナルトの寝室から台所までは、ほぼ全焼していた。
此処にナルトがいなくて本当に良かったとカカシは胸を撫で下ろす。
気を取り直し足場の悪い床を確認しながら踏みしめ、二人は部屋の奥へと入っていく。
二人は途中何度か焦げた弱くなっている床脚を取られ踏み外しそうになりながらも
何とか一番奥の寝室だった場所へとたどり着いた。
ナルトは、部屋の一角で何か探し物をしている。

「ん〜・・・ナルトーなんか大事そうなものあったー?」

其処は畳一畳くらいの大きさの間取り。押入れだと容易に知れる。
押入れの中身はほとんど入ってはいないようだったが、ほとんどのものが焼け焦げて
本来何であったのかも分かりにくい。
その奥の方の焼け焦げた残骸の下から何やら大きめの焦げた木の箱を引っ張り出してきた。
その箱の蓋を開けたナルトの顔が破顔する。
カカシはナルトの背中越しにその中身を一緒に見てみる。

「これ無事だったんだってば!よかった〜っ!」
「なぁに?それ?巻物?」
「うんっ!火影のじっちゃんやイルカせんせー達からもらったやつだってばよ。これ見て毎日術の練習してたってばよ!」
「そっかそっか。んで・・・一体何の巻物なの?ナルト」
「う〜ん・・・まだ半分もできてないってば・・・見てないのもあるってばよ。オレ一個覚えんのにジカン掛かるからサ・・・
あ!後で家に帰ったらせんせー教えてってばよっ!」
「いいよ。一緒に練習しよっか」
「やったってばーっ!」

カカシはナルトの柔らかい髪をくしゃくしゃと撫でる。
ナルトはいつもカカシがしてくれるその大きな手が大好きだった。
誉めてもっと頑張ろう気持ちを引き出してくれる魔法の手。
あったかくって、おっきくって大好きだった。

「他に大事なものはあるか?服とかは?」
「オレあんま服持ってないってばよ」
「まぁ買うからいっかー」
「いいって!いらないってばよ」
「よくない!買うのー」
「いらないってば」
「よくない」
「・・・・・・」
「はい♪先生の勝ちね」


心から心配してくれるカカシの気持ちが温かかった。
ほんわかする気持ちがナルトには嬉しくて、ちょっとに間黙り込んでしまった。
そしたらいつの間にかカカシの勝ちになっていた。
そんなやり取りも心地よかったナルトだった。

「じゃあ・・・あと無事な物って特に無いみたいだし、行くトコもあるからここ出るか」」
「うん!」

二人は家事現場を出て、近くの洋服屋や雑貨屋に寄って生活用品を買い込んで家路についた。
今日は楽しいお引越しだった。
移動した荷物はほんのちょっぴり。
でも、心は大きく膨らんでいた。




この先の生活が楽しくなりそうな予感だった。






続く

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