走り出して一昼夜・・・。


西の森の最奥。

もう、祠の直ぐ近くまで来ているはず。

不確かな場所を手探りで探すように、二人は焦る気持ちを押さえながら祠の場所を探した。

祠が近くなるにつれ、ナルトの腹の封印痕が徐々に熱くなっていく感じがした。
『まるで・・・九尾の感情の高ぶりを知らせているかのような・・・』
ナルトは何かに怯えるかのような背筋の寒さに動揺した。
そして、その恐怖が九尾の存在を確実に証明していた。







〜あかし・第4章〜









『考えちゃダメだってば。九尾に飲み込まれる・・・!」
ナルトは九尾を意識すればするほど、九尾の思惑に嵌って行くような気がしてならなかった。

『オマエは眠っていなくちゃダメなんだってば・・・!』
熱く疼くその封印痕を押さえながら、精神を沈めようと努める。
走りながら意識を集中し、封印痕の熱を掌に遷す。

再び意識は、疾走する足へと戻っていった。

しばらく走り続けた二人は異様な禍々しいチャクラを感じ取った。
そう遠くは無い。
祠の位置を示していた。
このチャクラは紛れも無い九尾。

二人はまるでそのチャクラに吸い寄せられるかのように祠の前に辿り出た。

「・・・・ハァ・・・ハァ・・・ここか・・・」
走り詰めの二人は大きく肩で息を摂取する。
心臓の鼓動がまるで早鐘を打つかのように跳ね上がっていく。
心拍数が上がるのは走った為だけではなかった。
異様なチャクラ、未知の恐怖、そして悪しき予感。

本来持つ本能が、全身で危険悟っていた。
想像していたよりも小さかったその祠は、まだ誰も荒らした形跡はない。
もちろん、もし祠を荒らした跡であれば、今頃ナルトの封印も解け九尾に体を乗っ取られているに違いない。

二人はひとまずの安堵に胸を撫で下ろした。
しかし、この先この祠に人間が踏み込まないとも限らない。
ましてや、常にこんな禍々しいチャクラを放っているのだ。
普通の忍であれば誰でもこの場所を探し当てる事は容易な事だろう。
今の二人にとってこの祠はこの先の行動の大きな足枷になった。

「とりあえず、今日はこの祠で休もう」
「そうだな・・・ちょっと疲れたってばよ」

二人は小さなその祠の中に入った。
祠の中には祭壇らしきものが祭ってあった。
その祭壇の中央上に小さな神器が置いてある。
それは小さな勾玉だった。
勾玉は美しい瑠璃色をしており、外界からではない鈍い光を己から放っていた。
二人は思わずその美しさに目を奪われる。
金目当ての人間ならさぞ喜んで奪いに来るのも頷けた。

「これが・・・九尾の勾玉・・・」

二人はその鈍い光を放つ勾玉を見て固唾をのんだ。
緊張の為か口の中がカラカラに渇く。
床を踏みしめる膝がカタカタと震えだす。
本能が感じ取る恐怖。
今の二人には重く鈍い恐怖感がトグロを巻いて襲い掛かっていた。
ナルトが近づくたびにその不快なチャクラは勢いを増すようだった。

「ナルト、お前は近づくな」
「あ・・ああ」

吸い込まれるように勾玉に近づいていっていた事をナルトは我に帰って恐怖する。
『呼ばれている』
間違いなくそう思った。

「とりあえず此処に置いといても、誰かに盗られるのを待つだけのようなもんだからな。一緒に移動させよう」
「・・・でも・・・この位置を離れても大丈夫なんだってば?」
「ああ・・・・勾玉が破壊されない限り・・・な」
「そっか・・・」

サスケは祭壇にゆっくりと近づき勾玉を盗ろうと手を伸ばす。
しかしその時!
バチッ!!
「うあぁ!!」
「サスケっ!!!」
それまで鈍かったはずの勾玉の光が激しい閃光を上げ伸ばされたサスケの手をはじいた。
それはまるで小さな落雷のような閃光だった。
サスケは痛みと閃光のショックで後ろに弾き飛ばされた。
「大丈夫か!?サスケ!!」
慌ててナルトも吹き飛ばされたサスケに駆け寄る。
「ああ・・・大丈夫だ。なんともない」
「手ぇ見せてみろよ」
常に自分の弱みや荒を隠し続ける性格のサスケのことだ少々の怪我であれば隠し通してしまう。サスケの悪い癖はナルトは熟知していた。
「大丈夫だ・・・つ・・ぅ!」
サスケの手ところどころ表皮がめくれ上がって血が滲み出していた。
怪我としてはたいしたことは無いが末端神経が集中している指先や手の甲だ。痛みは激しいに違いない。
「大丈夫じゃないってば!ったくお前ってばい〜っつもヤセガマンしてさっ!バッカじゃね?」
「うるせぇよ。お前だって人のこと言えた義理かよ」
「いいから見せろってば!」
強引にサスケの右手首を掴み掌を自分の方に向けさせる。
「痛・・・・っ」
勾玉の光は相当の熱量を持っていたと容易に想像出来るほどの酷い火傷だった。
「お前・・!これのどこが平気だってばよ!!こんなに酷いじゃねぇか!!」
「ウルセーな」
ウソがばれた後ろめたさか、それともかっこ悪いと思ったのかサスケはプイっとナルトから目を逸らす。
いつものサスケの癖だった。
「ったくもー世話やかすんじゃねーってばよ」
ナルトは自分のウェストポーチから簡単な消毒液と清潔なガーゼと包帯
そして軟膏を取り出し手際よく怪我の処置を施した。
「よし、これでもう大丈夫だってば。あんま右手使うなよ、サスケ」
「クス・・・ああ・・サンキューな」
ナルトらしくない器用な処置の手際に違和感を覚え、サスケはなんだか急におかしくなって笑ってしまう。
しかし当の本人ナルトには聞こえていないようだった。
スクッと立ち上がったナルトは勾玉の方を見た。
「それにしてもサスケ、これどうするってば?」
持ち出せそうに無い勾玉を見つめ、この先の行動行方を考える。
「持ち出せないんじゃここに置いて行くしかねぇだろ」
「大丈夫かな・・・?」
「オレが触ってこうなったんだ・・・・他の人間も同じ目に遭う」
「そっか・・・」
「それに俺たちの目的は、他にあるだろう」
目的・・・・そう里の敵を打つ事。
生まれ育った里を壊滅させた人間達をこの手で抹殺する事。
そのために、里を捨て旅に出た。
最大の目的はそこにあった。
「ナルト、明日隣国に向かって此処を出よう。そして、隣国の内部調査を決行しよう。今回の里の件の主謀者が誰なのか
探っておかないとな」
「分かったってば。じゃぁ今日は此処を寝床に借りるってば」
「ああ・・・」
二人は簡単な食事を取り、ゴロリと床に寝転がった。


勾玉は、この先尾ころ事を予感するかのように闇の中で不気味な光を放っていた。





続く



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