生きる誓いをたて、新たに歩き出す二人。
しかし、目の前には破壊されつくした瓦礫と変した街並みしか広がってはいなかった。
全ての気力を奪っていくような感覚に耐えながら静かに里の街道だった場所を歩いていく。

そして、しばらく歩き続けたところで徐に二人の足は止まった。
其処は、ナルトの部屋の前だった。





〜あかし・第3章〜


部屋はところどころ壊れてはいたが、特に他人が入り込んだ気配は無く任務に出て行く前の状態だった。
「ココは無事だったみたいだな」
「ああ・・・街から少しはなれてるからなー・・・とにかくなんか持っていけそうなもの持ってこってばよ」
「ああ・・・そうだな」

二人はナルトの部屋の中を物色し持ち出せそうなものを全て忍袋の中に詰め込んだ。
膨らんだ忍袋を背負いながらこれからの行き先を話し出すサスケだった。

「とにかく、隣国の状態を探らなくちゃなんねぇからな、さっさとここを出るぞ」
「わかってるってば・・・でもさ、サスケお前は?自分ン家よらなくていいのかよ?」

ナルトは膨らんで閉まりにくくなった忍袋と格闘しながらサスケの方に目をやる。

「どうせ、俺の家はめちゃくちゃにされてるだろ、でかいばっかで目立つ家だったからな」
「あー・・・。お前ン家でかいもんなぁ」
「でかいばっかで役立たずだ」
「オレもお前も持っていくモン少ねぇってばよ」
似たもの同士なのが近親間をもたせ、なんだか心が少し軽くなった気がするナルトだった。
こういったときは一人じゃない事に心底感謝する事ができる。
一人だったらもっとひどい倦怠感とか悲痛な痛みに苛まれていただろう。

「ああ。身軽で丁度いいさ」
顔を見合わせてふっと互いに笑いあった。
寂しくは無い。
例え木の葉の里で生き延びたのがオレとサスケだけだったとしても・・・。

慰霊碑の前で交わした誓いがあればもう怖くは無いし、寂しい事も無い。
後は、行動を起こし、成せばいいだけ。
守らなくてはならないものは全て壊され、奪いつくされたのだから。
『守るものがあるとき人は強くなるものなんです』
「白・・・逆もまた然りなのかもしれないぜ・・・」

「あ・・・?」
呟いたナルトの台詞が聞き取れなくて、サスケは反射的に聞き返した。
「いや、なんでもね・・・いくか・・・」
「ああ」











木の葉の里を出た二人は、一路西の森を目指していた。









木の葉の里が狙われたのは何も領土や国財だけではないと二人は考えていた。

十数年前に、西の最奥にある禁猟区それが要因だと踏んでいた。

西の禁猟区にすむ動植物は他の国々では見られない珍しい動植物が多く生息していて、さらには金脈があることで有名だった。
昔、西の森の禁猟区を狙い、国同士が争い多くの犠牲が絶えなかった。

十数年前に全世界の首領会議で木の葉の西の森は禁猟区として指定され保護されることが議会で決定された。
邪な目的での進入を試みるものも少なくは無く、その管理を連盟のほうから言い渡されていたのが
一番近くに国を構えていた木の葉の国だった。

森の管理、そして動植物の保護それが木の葉の里の忍達の任務の一つだった。
この禁猟区を巡っての争いも昔から少なくは無かった。
木の葉の里は禁猟区の占拠を企てるもの全てを今までに排除し守り通してきた。

時には、そのためにも暗部を使い占拠を企てる大本の人間をも暗殺してきた事もあった。
それが正しいのか、否かは分からないが、森を守る為に仕方のない事と代々の火影達はその行為を繰り返してきた。

禁猟区内には、もう一つ人を侵入を許してはいけない訳があった。
それは、ナルトの腹に封印されている妖狐の封印の力を制御する祠が奉ってあった事が大きな理由だった。

十数年前に木の葉の里を壊滅状態にした妖狐。
命がけで四代目火影が封印した妖狐をもう二度と世に出さないようにと、人間の侵入を拒む禁猟区の森に祠を建て
封印制御のための鍵となる勾玉を奉納していたのだった。

禁猟区内の金脈や珍しい動植物、そして封印の鍵の勾玉。
金銭的価値でしか物を見ない人間達にとってここは宝の山以外の何者でもなかった。
4代目死後、三代目火影がすぐさま隠居から再び三代目火影の名を就任し各国の首領との友好条約を結ぶと共に
西の森を禁猟区として保護地域として申請し、今まで静かな均等を保ってきていたのだった。

その三代目火影が死んだことでその均等が崩れ、欲に駆られた隣国の首領達が我が物にせんと侵略を開始したのが今回の戦乱の要因だった。
ナルトとサスケには今回の戦乱の要因は簡単に分かった。
だからこそ、許せなかった。
己の欲のために、木の葉の里の殆どの人間を死に至らしめたことを・・・。

今回の企てが一部の人間から始まったことなのであれば、ナルトとサスケの復讐の矛先はその者達に定まることは間違い無かった。
それが、誰なのか・・・。
国を挙げての侵略だったとしても、必ず命令したのがその国の長とは限らない。
隣国は小さな内乱が絶えない国であった為、今回の侵略も隣国家がやったとは限らないのである。
内偵調査が必要だと二人は確信していた。
確かに隣国の全てが憎々しい存在なのは確かだが、二人に対して一国を相手するのはあまりにも多勢に無勢すぎる。
それに、侵略をしたのは隣国の兵士や忍であって、国民には関係の無いことである。
その者達をも抹殺する事は、結局は自分達も隣国と同じ事をすることになる。
それだけはしてはいけないことだと思っていた二人だった。
元々、サスケもナルトも人を殺めることは好きではない。
無駄な、犠牲は避けなくてはならないのだ。
頭を殺れば後は崩れるのみ。
二人にはそれが大きな復讐の目的だった。
欲に駆られたブタどもを復讐のターゲットに・・・。


二人は走った。鬱蒼と茂る森の中を一昼夜ひたすら走り続けた。
二人は焦っていた。
西の森にある祠が隣国の手によって破壊されるようなことがあれば、ナルトの封印が説け妖狐を目覚めさせる事になる。
そうなれば、里の復讐などはおろか、二人の命も保障されない。
最悪それだけは避けなければならない。それだけは・・・。

一昼夜走り続けていた二人もそのことを真っ先に考えると体の疲れなどには気が行かなかった。
いや、思考が、神経が全て祠のこと一色に染められてたといっていいだろう。
焦る気持ちを抑えながら二人は森へと一路疾走した。



続く

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