丘の上から眺めた、栄える街並み・・・。 ここは憎き輩が、住み着く魔物の棲み処・・・。 今この街のどこかで、自分達の滅ぼした国の話を肴に美禄を飲み交わしているのかもしれないそう思うとナルトはこの街全体が、その輩の胃袋の中にでもいるような、禍々しい気分になるのだった。 今立つ場所は、その魔物の胃袋の入り口。 サスケとナルトは変化したままこの街の門の関所まで来ていた。 証 〜第10章〜 巨大な構えの門の両側には役人用の詰め所が儲けられており、常に2・3人の腕の立ちそうな男たちが立ってこの門を潜る人間のチェックを行っていた。 門前には商い等を目的とした商人達がずらりと列を成し、関所の門を潜る順番を待っている様子だった。 二人はその列の最後尾へと並び始めた。 「此処からは用心していけよ。ナルト」 こういった場合、普通の忍であれば変化したまま妖しい仕草も見せずにさっさと通り過ぎていこうとするのがマニュアル。 しかし、意外性NO.1忍者のナルトは一般の人間の様相もしないことをいつもやってのけてくれる。サスケはその事を大いに心配して相変わらずナルトの行動前には釘を刺すような言葉をかけるのが癖になっていた。 ナルトもその辺のサスケの疑い深いところがいつもいつも癪に障る。 「わかってらぁ・・・そんなコト。サスケこそ余裕かましすぎてドジ踏むなってばよ」 その所為かついつい反発した言葉が出てしまう。 しかし、二人にとってはこれが当たり前の日常会話になっていた。 「お前と一緒にするな。それよりその言葉使いやめとけよ。男が化けてるってソッコーばれるぞ」 「わかってるわよ。サ・ス・ケv」 ナルトは、しなを作りサスケに向かっておちょくった投げキスをした。 第三者のしかも男であれば、今のナルトの投げキスは誰でも好意を持ってくれるに違いないだろう。 しかし、目の前の投げキスをする美しい女性の中身を知っているサスケは、そんなことをされても喜ぶわけが無い。元々サスケはそういった関係の誘惑には、一切左右されることは無い。 よってサスケがナルトに返したリアクションは「顔を引きつらせて、暴言を吐く」事で終わってしまう。 「き・・・キモチワルイ事言ってんじゃねぇよ!このウスラトンカチっ!」 サスケの言い放つ暴言などとっくに免疫などできてしまっているナルトには、ただ単に「楽しいリアクション」としか感じないらしい。 クスクスと笑ってからかう言葉も更に調子が乗ってくる。 「あらぁ。ごめんなさぁいv気に障って?クスクス・・・」 明らかにからかわれている事を認識していたサスケはナルトを一睨みする。 「いい加減にしておけよ?」 「まぁ・・・コワイv」 全くの反省が無い様子のナルトだった。 「チッ・・・・!」 ナルトの懲りない態度に少々苛立ち、そっぽを向いて両手をズボンのポケットに突っ込んで背中を丸めた。 そうこうしている内に、関所での順番は次に迫っていた。 「ようし!次だ!!其処の男女、こっちへ!」 「・・・・・」 「はぁ〜いvvv」 門前の関所にいる役人達に呼ばれ、サスケとナルトはその役人達の近くへと行くべく、歩き出した。 「お前たち、この街に何の用で来たのだ?」 役人は何やら調査書のようなものを書きながら、尋問を始めた。 サスケはあくまでも冷静に、その尋問に答え始めた。 「はい。商いを目的で参りました」 「ほう。商いの内容は?」 「はい。国で取れた薬草を此方の朝市で売ろうかと思っています」 「そうか。そちらの女性は?」 「はい。私の手伝いです」 順調に尋問に答えていくサスケだった。 が、しかしあくまでも尋問するのは生身の人間。 きっちりマニュアル通りの尋問が来るはずも無い。 次に予想外の質問を、投げかけられ焦るサスケだった。 「そうか。恋人か、婚約者なのか?」 「え・・・?」 「恋人か、婚約者なのかと聞いておる」 『しまった。予想外の質問に思わず焦っちまった』 焦ったようなサスケの答えに役人の眼光がきつくなる。 サスケの背中に冷たいものが伝う。 「お前たち・・・まさか・・・」 「やだぁvお役人様ったらvわかっちゃうんですねぇvv」 「ナル・・・・!?」 隣でにこにこと笑っていただけのナルトがいきなりサスケの左腕に自分の腕を絡め、小さな頭をサスケの左肩に凭れ掛けさせた。 「お役人様。私たち来月結婚するんですv此方の街での商いが終わったら、国に戻って式を挙げるんですよvこの人ったら、すっごく照れ屋サンなもんだからお役人様の質問に焦っちゃってぇ。ね?あなたv」 絡めた腕でツンツンサスケに返答を促すナルト。 サスケはその合図で、照れたような表情を作り、俯き頭を掻く仕草を役人に見せる。 「は・・はぁ・・・。どうも恋人とか婚約者っていう類の言葉って照れまして・・・」 「キャハッ。もぉ〜あなたったらぁ・・・カ・ワ・イ・イvvv」 「お前も可愛いぞvナル」 「きゃvやだぁvvvあなたったらぁvv」 ナルトはサスケの頬を人差し指でツンツンつつきながら役人に見せ付けるための甘い仕草を更に繰り返す。 サスケも役人の視線を集めるかのようにオーバーリアクションでナルトと絡む。 尋問を行っていた役人、人数チェックを行っていた役人、その他護衛の為に詰め所の中に駐在している役人達もサスケとナルトの様子を呆れた顔で見つめていた。 目の前でイチャつく二人の様子に当てられっぱなしの尋問係りの役人が、聞こえるように大きな咳払いをした。 「ゴホンッ!あー、わかったから。イチャつくのは宿に行ってからにせい!後が痞えているんだからな!」 鶴の一声。 イチャついていた二人は、役人の声と周りの呆れた視線を感じぱっと離れる。 「あ!はい、すみません。ほらナルお前も謝って?」 「ごめんなさい。お役人様・・・」 シュンと泣きそうな表情をしたナルトを見た役人は、泣かせてしまいそうな現状に焦り始める。 「ま、まぁそのなんだ。いい商いをして、いい結婚式を挙げるように」 その言葉は関所通過許可の出た証。 しめたとナルトの表情はぱっと明るくなる。 「はいvお役人様ありがとうございますvお仕事頑張ってくださいねv」 にっこりと爽やかな微笑を飛ばすナルト。 役人もまんざらではない様子でナルトの微笑みに、だらしなく頬を緩めていた。 二人は何とか無事に関所通過を果たした。 二人は恋人らしく腕を組みながら、難関な関所を堂々と潜っていった。 潜りきったところで、腕を組んだままお互い顔を見合わせ、微笑みあう。 「やるな、ナル」 「でしょvあなたv」 「・・・・・・」 「あなた」という一言に微笑みながらもこめかみに青筋を浮かべるサスケだった。 続く |
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